岡まことの新譜「アンデッドフィロソフィー」を聴いた。
岡さん曰く「今まで使ってきた中で最高傑作」と謳っていたので、
今日が来るのをとても楽しみにしていた。
元々こんな感想文なんか書くつもりはなかったのだけど、
この心を記しておこうと思う。
アーティストによって、よく使う言葉や表現ってあると思う。
例えば米津玄師さんだったら「遠く」や「どこか」が個人的に印象的だ。
岡さんは「手遅れ」という言葉をよく使う。
それは、僕も共感できる。
自分のコンプレックスはもちろんのこと、
他人から意味もなく否定されて、
傷ついて、
「もう期待なんてしない」と塞ぎ込む。
でも僕は結局、
誰かの優しさがないと生きていけない人間なのだ。
だからどこかで期待をしてしまう。
そしてまた傷ついて、
塞ぎ込んでの繰り返し。
これはもう一生変わらないのかななんて思う。
人間生きていれば変わるものもたくさんあるだろうけど、
良くも悪くも変わらないものもあるはずだから。
岡さんにも、
僕と似たような部分があるのではないかと、
勝手に想像をしている。
人が怖くてたまらない。
優しさを疑ってしまう。
裏切られるのが怖いから。
「同じことだけ言っていたら、歳だけ食って説教臭くて」
と彼は歌う。
僕は、歳を食っても同じことを言える彼を尊敬する。
彼は「俺は同じことしか言えない人間なんだ」と言いそうだが。
そんな彼の、
敏感で、臆病で、不器用な歌の中にも、
小さな希望が散りばめられている。
「君」という存在。
彼が心から愛している人なのだろう。
僕にも今、愛する人がいるからよくわかる。
いつかは石ころに変わるようなものでも、
今は確かな輝きを帯びた宝石なんだ。
彼はこれからも歌い続けるだろう。
敏感で、臆病で、不器用。
その中に、希望と優しさをひとさじ含みながら。
彼のことを知る人は数少ないだろうが、
数少ない中の、
心を動かされたうちの一人がここにいるということを、
僕は声を大にして言いたい。
岡まことというアーティストを、
これからも心から応援しよう。