あなたの苦しみを理解することは
誰にもできやしないししてほしくもないだろう
僕にはあなたが苦しみから解放されたことを
願うことしかできない
今日も自殺した人のニュースで
世間は溢れかえっている
それを見て心が痛む人は
おそらくほんのごく少数なのだろう
大人たちは身を守るために嘘をつき
「気づくことができなかった」と頭を下げる
記憶はすぐに薄れ 消えてしまう
消えないものは
残された人たちの涙なのか
きっとあなたは周りが思うより
いわゆる普通の優しい人だったのかな
楽しく学校に行き
友達と話をして
ただそれだけと言うけれど
ただそれだけが望みで
とても幸せで憧れで
だけどあなたの願いは届かなかったの
あなたの苦しみを理解することは
誰にもできやしないししてほしくもないだろう
僕にはあなたが苦しみから解放されたことを
願うことしかできない
今日も死んだ人など気に留めず
世間は何も変わらず流れてゆく
ニュースを見ていちいち心を痛めてしまう
そんな人の方がおかしいのだろうか
悲しみの雨など振りはせず
当たり前のように光が差し
ここにある花に見向きもしない
死んだあなたの気持ちなど考えずに
運転見合わせた電車に舌打ちをする人がいる
「死にたい」を抱いたあなたを
どうすれば救うことができたのかな
泣いても誰も見てくれなくて
いや見せないようにしたのかな
あなたを繋ぐ「何か」があったらよかったのに
親でも先生でも友達でも恋人でも
本でも漫画でもアニメでも音楽でも
ずっと孤独だったのかな
あなたの苦しみを理解することは
誰にもできやしないししてほしくもないだろう
僕にはあなたが苦しみから解放されたことを
願うことしかできない
あなたのことなど僕は何も知らなくて
何もできなくて
その涙にも気がついてあげられなくて
あなたが死んでからも
世間の「死にたい」は増え続けて
それでも否定されて
「幸せなんだ」と刷り込まれて
その苦しみを我慢して
辛い時に辛いって言えなくて
深い闇から逃げるために死を選んだの
あなたの苦しみを理解することは
誰にもできやしないししてほしくもないだろう
僕にはあなたが苦しみから解放されたことを
願うことしかできない
もっと優しい世界だったらよかったのにな
どこにもないよってあなたは自ら命を絶ったの
望んだ世界はきっとどこかにあった
なんでこんな化け物たちが住む世界が生まれてしまったの
この世界は残酷だ
幸せに笑っているあなたと同じ世界を生きたかったよ
僕がいくら願っても
この願いは届かないんだろうな
また朝が来て
化け物に心を殺されて
人が自ら死んでゆく
